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zoom RSS 映画講座(32)「照明で演出」

<<   作成日時 : 2006/10/24 07:51   >>

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「レンブラント照明」もそうですが、照明によってそのシーンやショットの雰囲気を演出することはままあります。

たとえば、裸電球がぶら下がっている部屋。何かの折にその電球に触れ、それが大きく揺れ出す。その時点で、キーライトは電球と同じように揺れなければならない。
それが拷問シーンなどであれば、より恐怖感が増しますね。
このような場合、脚本の時点からそれを想定してくる場合が多いです。

次に、窓をバックに見つめ合う男と女。
窓の外は、夕景(もしくは昼間)。そしてそのショット10秒ほどの中で、スーッと夜景(もしくは夕景)になる。(照明によって時間を短縮するわけです)
そして男と女は・・・・。

外連味たっぷりな例としては、「東京流れ者」(66年日活、監督:鈴木清順、出演:渡哲也、松原智恵子、他)。
真っ白な壁のとある部屋。背後に危険を察した渡哲也が、振り向きざま拳銃を撃つ。
撃たれた女が倒れると同時に背後の白壁に真っ赤な照明が当てられてる。
更にキャメラが真俯瞰になると。床には(フローリングか何かのはずなのに)羽毛のようなものが敷き詰められている。←これは照明ではないが。
更にクラブでのラストシーン(開店前の店で照明は薄暗い)。悪者に哲也が一発撃つと、いきなり照明が全開になって、真っ白なハイキーな映像となり、撃ち合いが始まる。
悪者が片付いた後、寄り添ってきた智恵子に哲也が言う。
「流れ者に女はいらねえ」・・・私「よっ!哲也!(いいねえ)」←これまた照明ではない。

余談ついでに「田園に死す」(74年ATG、監督:寺山修司、出演:菅貫太郎、原田芳雄、他)での演出。
青森の田舎の実家で母親と対面している主人公。そのバックは、古ぼけた農家の壁。
と、突然、その壁がばたりと倒れる。
倒れた壁の向こうは、東京は新宿駅東口の雑踏。主人公は立ち上がり静かにその雑踏の中に消えていくのであった、(END)

ま、みなさん、いろいろ考えますねぇ。

ところで「レンブラント照明」の項でのヒマな音効屋さんの質問の「マジック・アワー」でありますが。
それは、ある時間帯のことを言っています。晴れた日の太陽が地平線に隠れた直後の数十分。夕景でもないそれは、何とも優しい光に包まれた景色になりますね。
まさしく魔術にでもかけられた景色に包まれた状態の時間帯であります。
「天国の日々(Days of Heaven)」(78年米、監督:テレンス・マリック、リチャード・ギア、ブルック:アダムス、他)において、監督は、昼の屋外シーンはすべてその「マジック・アワー」で撮りたいと言い張ったとか。
そのため、昼間は、撮影の準備とテストだけ。そして夕方、「マジック・アワー」の数十分のみで本番撮影。なんともはや贅沢な映画ですねぇ。

で、今までの撮影や照明の技術説明、ビジュアル的に確認したい人にとっておきのもののご紹介。
映画制作をしたい人は勿論、その制作の裏側を知りたい人に是非お勧めのビデオです。これは、私の映画演出におけるバイブルでもあるのです。
それは、「ヴィジョンズ・オブ・ライト/光の魔術師たち」(92年米)というドキュメンタリー。
ドキュメンタリーと言うより、ハリウッドの撮影監督たちの証言集といったものです。
ウィリアム・フレイカー、ネストール・アルメンドロス、ゴードン・ウィリスなど、そうそうたる面々が自分の青年時代、助手時代、そして撮影監督となって関わってきた作品をその映画の一場面を見せながらその撮影技法や照明技法などを語っていくのです。
そしてそれは、ハリウッドの映画史にもなっている。
セル専用で、10000円とちと高いですが、興味のある方は是非ごらんあれ。
発売元のHPは、こちら↓↓↓
http://www.imageforum.co.jp/video/v-vson-j.html

「ますだの映画講座」へお越し頂きありがとうございました。
ただいま、このblogで書きためた原稿を元に、画像など使い、より分かりやすく映画のことが理解できる「映画講座 HP完全版」を作りました(一部制作中)。
決して、ブログでの連載をやめたわけではありませんが、新しく作り直していく中で、新たな項を書いていくきっかけになれば、とも思っています。
一度、覗いてみてください。
http://www5b.biglobe.ne.jp/~t-masuda/cn20/pg127.html
以上、よろしくお願いいたします。(08/12/30)
東京流れ者 [DVD]

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
「マジックアワー」の解説ありがとうございました。なんともロマンチックな感じですよね。件の「天国の日々」では「マジックアワー」の効果を体験できるのでしょうか。
それにしても、監督は映画のデティールを識っていますよね。毎回、作品に当たって確認をしているのでしょうか。
ヒマな音効屋
2006/10/24 23:10
ヒマな音効屋さん、こんにちは。
「天国の日々」を見ると、太陽光による間接照明の世界といったものでしょうかね。色で言えば、原色ではなく、中間色の世界、と言ったところでしょうか。
例に挙げる映画は、私の遠い遠い記憶の元に書いているので、間違ったところがあるかもしれません。
なお、AMAZONにリンクさせている作品は、見ていなかったら見てみてね、という私のメッセージのつもりでいますです。
でわ、でわ。
ますだ
2006/10/28 03:25

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